被災地の今後





2011年3月11日 14時46分。宮城県に震度7・マグニチュード9.0の世界でも類を見ない地震が発生した。

この類を見ない地震により多数の死者・行方不明者が出ている。先ずは心からのお見舞いを申し上げたい。
そして一日でも早い復興を祈念してやまない。

さて既にテレビや新聞、インターネットでの多数のメディアで既報の通り、
食糧難・燃料不足・福島原子力発電所の問題が深刻な問題となっている。既に避難所にも死者が出ている。

既にボランティア・自衛隊を始め、海外からの支援もあり救助は進みつつある。
この劣悪な状況下、新たな命が誕生するなど明るい話題も出てきた。こういう話題がまた出てくれば良いと思う。

しかし救助が済んだとしてもそれで終わりでは無い、その先には復興への長い道のりが始まる。
被災者への心のケアも欠かせないだろう。がそれ以上に懸念されると思われる事がある。

●放射線に対する認識

福島原子力発電所の問題は既にご存じだと思う。一刻の猶予も許さぬ状況で東京電力の職員・自衛隊他が命懸けの活動を行っている。
だが、その一方で被爆に対する懸念もある。しかし勘違いしてはいけないことがある。

放射能濃度の単位としてSv(シーベルト)という単位が使用される。Gy(グレイ)という単位もするが割愛する。
放射能に被爆することで先ず出てくるのは、「急性放射線症」だ。これは短時間に放射能を被爆することで中枢神経死を起こして死亡に至るものである。

今テレビで報道されている単位もシーベルトだがその中でも1,000,000分の1にあたるμSv(マイクロシーベルト)だ。
例えば福島第一原子力発電所正門で計測された放射能は400mmSvだ。これは400,000μSvとなる。

例えば茨城北では15μSvを計測した。これは一日に浴びてもいい0.03μSvのおおよそ500倍だが、
死亡致死量の3シーベルト(3,000,000μSv)からすれば200,000分の1に過ぎない。身近なところからわかりやすく書くと、

・CTスキャン1回 … 6.9mSv(6,900μSv)
・飛行機搭乗1回(東京⇔ニューヨーク) … 0.2mSv(200μSv)
・1年の自然放射線 … 2.4mSv(2,400μSv)
・がんの放射線治療 … 70mSv(70,000μSv)(病状による)

である。北茨城の場合は1日で約6年分の放射線を浴びている計算ではある。
とはいえ放射線は風により弱くなるので、常時この放射線量を浴びることでは無い事を認識しよう。

福島県周辺の関東1都6県では一日の許容量なる値(0.03μSv)に収まりつつあるが、情報が欲しい状況ではそれでは納得しないようだ。

●メディアの情報に踊らされている国民

人間は体験した事もない状況下になると、入ってくる情報はすべて鵜呑みにする傾向がある。
メディアは初期報道で放射能が空中に漏れた事を取り上げた際、放射線被爆量については正しい説明はされなかった。
これが放射線に対する認識を誤らせた要因の一つだと思っている。数日経過してから記者会見で「健康に影響は無い」としたところで誰が信じようか。

チェルノブイリ原子力発電所事故については知らない人と思う。初期報道でその二の舞を想像された人は少なくは無いはずだ。
だけど少し考えてほしい。

●正しい知識は自分で調べて

放射線被爆量については既に研究が進んでいる。インターネットでも調べればいくらでも出てくる。
メディア、特にテレビで嫌となるほど放送されている放射線量については健康に影響は無いレベルと分かるだろう。

筆者はもう嫌になってるくらいである。初期報道が出た後、すぐにいろいろと調べたからである。

●被災地の人たちを差別しないでほしい

被災された方は既に今回の問題でそれぞれの道を歩み始めた。ある人は故郷を離れ、ある人は避難所に残りと言った具合に。
受け入れる側も大変だと思うが、放射能が出たところだから等の浅い知識で受け入れを拒否し、差別するようなことはしないでほしい。

・被爆しているから娘の結婚は破棄する
・周りの従業員の健康に影響が出るから、今回は採用を見送る
・被爆しているからアパートの入居を拒否された

と言った差別は絶対にしないでほしい。援助物資を積んだトラックが郡山まで来て、
その先は放射能が怖いからと言って要請を拒否した実例が出ているそうだ。何ともありえない話だが本当である。

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