IT化という言葉


 世の中が情報化社会と言われて久しい。特に今の会社に入った2005年からは世の中のすべてがその方向になっているようにも見える。
Windows95の発売が起爆剤となり、携帯電話の急速な普及が更に推し進めた。そしてWindowsXP、Vistaと続く。

●急速なIT化がもたらした弊害

 得られる情報が多くなった(氾濫)ことで、使う側にとってどれが有用な情報であるか、識別(discrimination)出来なくなっていることだ。
それが見るという事を難しくしているし、本来有用であるべき情報が信用できないものになってしまっている。
 その内に見るという事をしなくなるかもしれない。そしてそれが人間を退化させてしまう要因になるかもしれない。

●ペーパレスと本当にほしい情報

 中規模以上の企業では重要書類等を含めた電子化を推し進めている事だと思う。PDF(Portrable Document Format)化にして、それをまとめてCD、ないしはDVDへ保管する。
これで一般的には紙で保管していた時の2割程度のスペースに抑えられるという。

 だが、これを良いものとは考えていない。あの薄くなったディスクが密に収納スペースに保管されたところから必要な情報を見つけるのは容易では無いと思う。
収納スペースが2割に抑えられたとしても情報量は10割のままだ。それだけ検索する手間が発生する。
 検索に慣れてない人はそれだけ手間がかかるから、返って時間の無駄を生むかもしれない。それは企業にとってマイナスになるし本人にとってもマイナスだ。

●電子化が生んだリスク

 自宅でも公共料金の書類、幼稚園のお便り他、いろんな書類がある。だがそれをスキャンしてPDFで見たいとは思わない。
本当にみたい情報なら手元に届くところに置きたいだろうし、わざわざパソコンを立ち上げてAdobeReaderを立ち上げてという工程を踏みたいとは思わないだろう。最低でもそれで5分はかかる。 手元に書類があるなら一瞬だ。正にアナログここにあり、だ。

 そして保管されたディスクを守る。いわゆるセキュリティという事柄が追加される。
1枚でも盗難されれば一瞬で企業の信用は丸つぶれになってしまう。そのためにディスクに暗号化をかけたりしなければいけない。それはパソコンをちょっと知ってる人ができるものではなく専門的な分野でありレベルが要求される仕事だ。

●僕たちは何処へ向かえばいいのか

 こっちを取れば、あっちがたたずの状態に今あると思う。
僕らが向かうべきところは媒体として保管するのではなく、それこそ強大なサーバー等にすべて保管して何処からでもアクセスできるようにすることだ。
ただそれでも紙というアナログな媒体は無くならないだろうし、むしろその良さに気づく事が多くなるかもしれない。



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